こもりく-komoriku-

過去のネリコ

山の猟師見習い"ネリコ"にまつわる連作絵。
web漫画「隠國ネリコ」の前段階の絵です。

2001年より「ネリコの生活」と題した数枚の連作絵を漫画制作するための下地として描いていました。
一時休止期間を経て、もっとしっかりした形にするため、2003年、ある程度時間が取れるようになったのを期に「隠國(こもりく)ネリコ」として連作絵を再開。
しかし連作のつもりが、またもや尻切れしています。

この時点で現在のネリコの雛型がほぼ出揃っていますが、この後もバックボーンを大きく追加していく予定があったため、世界の構築を優先し、絵にする作業は打ち切りました。
そうこうしている間にHP更新に取れる時間がなくなって、一時ホームページを閉鎖しました。

2009年夏ごろ、作品制作にある程度のメドが経ち、漫画制作を再開。

現在に至ります。

ネリコの生活

2001年巳年の年賀状絵。
この時、ヘビをモチーフに猟師のじっちゃんと孫娘を描いたのが最初です。
後に女の子に「ネリコ」と名を付け、「ネリコの生活」と題した山の猟師村で暮らす女の子の生活をつづった連作絵を何枚か描きました。

隠國ネリコ

「ネリコの生活」を休止後「隠國ネリコ」として連作絵を再開。当時、絵とともに載せていた文章です。

↑隠國ネリコ イメージ 手に冷たき殺生のくろがねを
背には空に溶ける獣の皮を

隠國(こもりく)は三界の隙間にあるところ
山に海に里に川に

異形の獣たちが隠れ棲むこの土地(クニ)で
若き隠人(こもりど)・ネリコが追うのは
昔語りに伝え聞く
イカヅチ纏うアオシシ(羚羊)か…
2003.06.11

↑山眠る朝
人も獣(シシ)もまだ夢の中にせぶる時間にぼく達は山に入る仕度をする。

猟師(ぼくらは殺生連と呼んでいるけど)一年生の
ぼくは猟衣を着るにも時間がかかってしまう。
ジンジは外で、すでに集まってる仲間衆の人達と、隠國へ入るルートの相談をしている。

「お前はさぁ、ダラダラしてシャキッと起きないからいつも皆を待たせるんだろー?」

う、うるさいなぁ
板間の端に腰掛けて嫌味を言うのはバンジ。
自分だってちょっと前までは仕度に手間取ってたじゃないかぁ。
2003.07.07

↑サチトリゴ
ぼくは、村で今年唯一の”サチトリゴ”

サチトリゴは”幸取り”の儀式を行い年かさの者から自分用の猟銃を授かる。

幸取りをもって、初めて隠國(コモリク)での猟への参加を許されるという、
殺生連(セッショウレン)の通過儀礼の一つ。

ぼくらが携帯する万能の山刀のことを“サチガネ”と呼ぶ。
2003.07.11

↑神饌(シンセン)とジンジ
山に少し入ったところにある小さな社。
殺生連、連頭(レンカミ)のジンジは猟へ出る時、必ずここで山神様に
神饌としてキヨワカ(清酒)と粢(シトギ)を捧げ、
猟中の安全と獲物を分けて貰えるように祈願する。

山神様は一般的に醜女(シコメ)と考えられている。
だから古来、山へ女が入ることは山神様の嫉妬をかうので禁忌とされてきた。
特に殺生連は山で女の話をすることを禁じられているし
妻が産気づいている猟師さえも忌として猟への同行を許可しない。

今ではあまり厳しく言うこともなくなったけど古いしきたりを大事にしているジンジは、
将来ぼくが猟に出ることを見越して、
山神様に女と悟られないように自分のことを「ぼく」と言うように仕付けた。
2003.08.09

↑国閾(クニジキミ)、そしてバンジ
木々の間を渡した縄から下がる茜の布。
これは国閾(クニジキミ)といって、これより先に進めば隠國(コモリク)に繋がるという事を示す。

隠國は日々移動してゆく。
わずかの日もあれば一夜にして10里も移ってしまうこともあるし、
二つに分かれたり消えてしまう事もある。

隠人(コモリド)達は分担して、隠國に合わせて常にこの国閾の位置を変えてゆく。
隠國の目印でありまた、野人(ノビト)と隠國を分かつ為の結界でもある。

バンジは2つ年上。
普通のサチガネ(猟銃)の他に自作の大口径の銃を持ち、
山刀も普通のナイフ状ではなく刃渡り2尺あまりの長物を使っている。

ヘンな物ばっか使ってるけど、腕はイイからジンジもとりあえず黙認してるみたい。
ぼくの印象は「力押し馬鹿」だなぁ・・・
2003.08.10


↑シロさん
2004.10.02